それを憶えてはいないけれど、その瞬間、ものすごくショックを受けたことだけは記憶にある。
むしろそのインパクトが強すぎて忘れたのかもしれない。
だって彼の演技は完璧すぎたのだ。いつだってギリギリのヒントを与えながらも本性を覚らせない。
あたしより完璧すぎたから遅くなったけれど、気づいたのは自分自身が皆を欺いているから。
彼もきっとあたしの演技に気づいているのだろう。
嘘をつくたびに、不都合を誤魔化すたびに、隙のない仮面の下から、好奇心を湛えた瞳で見つめるのだ。
そしてそのたびに思う。――あたしはルークより綺麗だと。
彼の方が完璧で酷く穢い。向けられる様々な感情を裏切って、それを愉しんでいるのだから。
それに比べて、あたしは罪悪感を感じながら、いつばれてもいいようなヒントを落とす。
だからあたしはルークより穢くはない。
そうやって、何度でも安堵を得るためにまた、彼の演技を見届ける。
そんな自分が一番穢いのだということに気づかぬふりをして、まるで待ち焦がれていた舞台を鑑賞するような真摯さで、好きなひとの愛を得る資格のない自分のためだけに祈りながら。
全てに愛されないでいて
2007/04/19
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