"死んじまえと罵られて このバカと人に言われて"
"僕たちを縛りつけて一人ぼっちにさせようとした全ての大人に感謝します"
「ホントに、感謝してもしきれねえな!」
気が済むまで爆笑し終わった後、唖然と見上げてくる被験者サマやその過程を瞬き一つせずに見守っていたんじゃないかというほど瞠目したまま見つめ続けるお仲間に、更に笑が込み上げてきた。傑作だ、これ以上ないくらいに傑作だ。
「散々劣化複製人形だの馬鹿だの出来損ないだの屑だの言ってたのにそいつに負けてちゃ世話ねえよなぁ聖なる焔の燃えカスさん」
未だに状況が把握できずに床に這い蹲っているアッシュの腹を爪先で軽く(と言っても瀕死状態の相手にとってはかなりのダメージだろうが)押しやる。
「お前ら今まで本気で騙されてたのかよ!? あの髭も相当なモンだけど何でそんなに騙されやすいんだよマジ笑えるっつーの! まあその方が俺にとって都合良かったけどなー余計な力使わなくて済むし油断させられるし」
でももう限界、と言い終わらないうちにまた爆笑し始めた『レプリカルーク』の豹変振りに、誰も口を開けなかった。否、開いた口が塞がらなかった。
「え? もしかして付いてこれてない? マジかよどんだけ鈍いんだお前らアホじゃねーの」
笑いすぎて涙目になりつつも嘲るような口調でバシッと浴びせられた一言に、誰もが息を詰まらせた。誰だこれは、つーか髭ってあれか、ヴァンのことか、アクゼリュス崩落のショックでついに精神崩壊してしまったのだろうか――と青ざめた表情の奥で各々が必死に考えを巡らせても、答えが出てくるどころかますます混乱してしまう。
「俺は最初からレプリカだって知ってたんだよ、そこに寝転がってる被験者サマの代わりに殺されるために閉じ込められてんのもな。まぁ結局それも失敗に終わってるけど。あぁでもあの髭ムカつく! 何が『愚かなレプリカルーク』だよお前の方が愚かなんだよ生きてる価値あんのかアイツ俺がちゃんとセフィロトに向かって超振動使ってやらなかったら今頃跡形もなく消えてるぞ感謝してほしいくらいだっつの」
畳み掛けるように、今までウザいくらいに師匠師匠と甘えていたのが信じられない程悪態をついた後、用無しとでも言うようにアッシュを蹴り飛ばして振り返ったルークにびくりと一斉に肩を揺らせた。
「それにガイラルディア・ガラン・ガルディオス! お前俺のこと殺そうとしてたみたいだけどお前じゃムリだから! は? 何そのマヌケ面。もしかして気付いてないとでも思ってた? バッカじゃねーのあんなヘボい殺気の消し方でバレねぇ方がおかしいって」
このバカ! ともう一度ダメ押しされ、ガイは立ったままで意識を手放した。
「あとそこのジェイド・バルフォアとかいう怪しい眼鏡も言いたいことあんならハッキリ言えっつーの!! すっげえイライラすんだよどうせ俺に責めらんのが嫌だったんだろーけどんな心の狭いことするかよお前なんか恨む価値もねえッ」
そう言われた『怪しい眼鏡』は目を瞑り、額に手を当てて現実逃避。
「あースッキリした! っつーわけで俺は髭ぶっ潰してくるから!」
そこの燃えカスよろしく。
ひらりと手を振って一瞬で姿を消したルークに、女性陣は半端に意識を保っているせいで精神的な傷は一番大きい。
「あれ……ホントにルーク……?」
ようやく搾り出したアニスの問いに当然返る答えは無い。
「それにしても軟禁生活のお蔭でバカなぼっちゃんの演技も疑われずに済んだしカスみたいに髭の六神将にも入んなくても良かったし。感謝感謝ー」
全くありがたみの無い声でそうのたまった、かつてのロクデナシ――もとい最凶レプリカの反撃が始まる。
...continue?
("生まれたからには生きてやる!")
" "内引用:BLUE HEARTS
2007/02/18