セシル・ブルンネの花について、いっそ皇帝の権限でセシル・ジョゼットに改名してやろうかだなんて本気とも取れるような冗談を 交わしているピオニーに、それじゃあファミリーネームとファーストネームが反対だなんてツッコミはひとまず置いておき、アニスはふと浮かんだ疑問をぶつけてみた。
織り込まれている花は確かにピオニーが持ってきたものと同じで、だが花環を作るような少女的趣味はないと断言された。 それによく見ると結構手が込んでいて、とても男性が作ったものとは思えない。では一体誰がこれを作ったと言うのか。
「それか? 良く出来てるだろー。さすが俺の手作り!」
からからと笑いながら自画自賛するピオニーは、驚愕と困惑の視線を集めることとなった。
ルークは動揺を隠せないままに、先程言っていた言葉を繰り返す。
「え、で、でもそんな趣味はないって……」
「趣味は無いが技術はある」
威張るようにはっきり言われたその言葉に、誰もがただ呆れるしかなかった。
「ネフリーとよく作って遊んだからなー」
「完成品を無理矢理頭に乗せられたり腕につけられたりして燃やしたのが懐かしいですねえ」
「それにはムカついたが、泣いたネフリーを慰めるっつーおいしい役にありつけたから黙ってたけどな」
「サフィールと出来栄えを張り合ってネフリーに呆れられたのは誰でしたっけ」
「いやあれは違う! サフィールが勝手に……」
珍しく饒舌なジェイドと子供のように表情を変えるピオニーの昔話を聞きながら、 子供の頃からひとつも変わっていないんだなあと更に呆れる一同であった。
雪国の昔話が書きたかっただけ
2006/05/20