きみのかわいくて聡明なのといったら、道の端っこで胸を張ってる雛罌粟もびろうどの中を泳いでいるほうき星も敵わないくらい、いっとううつくしいと僕はしょっちゅうおもうのです。けれどきみは自分のことを悪魔のようにおもっているので、僕はしょっちゅうかなしくなります。真っ黒はすべての色をやさしく抱きしめているというのを、きみはまったくわかっていないのです。それなのに僕といったらそんなのも上手に言えないので、ほんとうにもう、まるで胸のつまるような気持ちです。ああ、きみがはやく気づけばいいのにと願うばかりです。きみのことをこんなに考えている僕に、はやく気づけばいいのにと、それだけ願うばかりです。

神様が気づきますように

2009/08/09
(宮沢賢治に寄せて)